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【ママライター講座作品⑤】「古くて新しい街、新しくて古い街/蓼沼忍」


古くて新しい街、新しくて古い街       蓼沼 忍

                   

――街にも“体温”があり、“色”があって、“におい”がある。

――ちゃんと生きていて、“個性”があるのだ。

 

「何もないところ」

 

私の地元「桐生」は、北関東にある小さな街だ。

清流が流れ、山々に囲まれた、自然豊かな美しいところ。

まさに、“山紫水明”という言葉がぴったりだ。

耳を澄ませば鳥のさえずりが聞こえ、人通りも多くはないので、どことなく、のんびりとしている。

「何もないところね」と言われれば、返す言葉はないが、私はそこが好きだ。

たまに東京に遊びに行くけど、帰りの電車の窓から桐生の街並みが見えてくると、ホッとする。

都会では、人混みや立ち並ぶ高層ビル、いろいろな情報で“眼”と“耳”がひっきりなしに刺激される。

でもここには、それほどのものはない。

そうそう、近くの山に向かう途中、道端に『シカの飛び出し注意!!』の立て看板がいくつもあったっけ。

それもある意味、刺激的と言えなくもないけど・・・。

まぁ、それはともかくとして、ここではゆったりと呼吸ができる。

そこで、私なりに考えてみた。

「この街の魅力って、どんなところだろう?」

 

目に見える魅力と、肌で感じる魅力

 

――桐生は緑が多い。

――その中から古い、昔ながらの建物がいくつも顔をのぞかせている。

――和服が似合う、レトロで情緒のある街並みだ。

――そこに今風のアレンジが加わり、なかなか素敵だ。

――田舎過ぎないのも、ポイントかもしれない。

でも、それって見た目だけの魅力。

うーん、それだけじゃない。

もっと奥深くから出てくるもの……。

――そう、この街が持っている独特な味わい、“風情”を感じられるところが魅力的なんだと思う。

これは実際に来てもらい、肌で感じてもらう以外に伝える方法がない。

そういった「桐生らしさ」、「味わい」は、“場所の持つエネルギー”や“今までの歴史”そして、“そこに住んでいる人たち”によって創られる。

――それらが溶け合い、一緒になることで生まれるのだ。

 

桐生らしさを生かして・・・

 

でも、残念なことに、この街にはいまひとつ元気がない。

ここで生まれ育った若い人たちは、地元には働く所がないと、外に出て行ってしまう。

高齢化が進み、これからの街の在り方が心配だ。

『もったいないなぁ、こんなにも味のある街なのに・・・』

これが、私の正直な気持ちだ。

「桐生らしさ」が上手く生かされて、もっと活気が出てくれば、この街も変わっていくんじゃないだろうか・・・。

そんなふうに思っていたら、同じことを考えている人は多いようで、新しいワクワクがいろいろと生まれている。

織物産業に代わって、“新しいものづくり”や“観光”に力を入れ、活力を出そうとしている。

桐生の街で、映画やドラマの撮影が行われたり、伝統的なノコギリ屋根の工場を、現代風にアレンジして、お店として再生している。

“物づくりの伝統”を現代に受け継ごうと、ガラス作家や刺繍作家など、クリエイタ―の人たちが頑張っている。

「人がいない」「働く所がない」「昔のようにいかない」とネガティブになるのではなく、“伝統を生かした、桐生のいいところ”をベースに、新しいものを生み出そうというパワーが大きくなってきた。

どんなものも、“良いところ”と“悪いところ”があり、その両方が合わさって、ひとつになっている。

過去を振り返ってばかりではなく、今のありのままを認め、受け入れて進んでいく。

「古くて新しい街」「新しくて古い街」

――まだまだ、可能性は沢山ある。

――どう変わっていくのか?

「桐生」のこれからが楽しみだ。

RSS Feed  Posted on 2015-08-21 | Posted in BLOG | No Comments »

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