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大人は価値観伝えよう
大人は価値観伝えよう

 
 「町のどこでも教室に、町の誰もが先生に!」を合言葉に、地域の大人が市民先生となり、子どもたちの生きる力を育む「きりゅうアフタースクール」。 社会の変化により、子どもたちを取り囲む環境は急激に変わってきています。かつては、三世代が当たり前のように一緒に住んでいたり、地域の行事などを通して近所の人と知り合ったり、子どもたちの周りにはたくさんの大人がいて、様々な関係性の中で子どもたちは育っていました。一方、 現在の子どもたちは、限られた人間関係の中で育ち、地域の大人と出会う機会がめっきり減ってしまいました。キッズバレイが運営するコワーキング&コミュニティスペース「ココトモ」(桐生市本町5丁目)では、『桐生のこども達』と題し、昭和の桐生を写した写真展を開催しています。(写真:齋藤利江さん、2月末まで)年の離れた子ども同士が一緒に遊び、その近くにはそっと見守る大人の姿が写っています。子どもたちの勤労観、人生観、世界観といった人間の核となる部分を育てるためには、多様な大人が子どもたちに関わり、子ども同士が学び合い、様々な価値観や考え方に触れることが重要ではないでしょうか。アフリカに「子ども一人育てるには、村中の人が必要」という諺があるそうです。地域コミュニティの中で子どもが育っていく環境を「きりゅうアフタースクール」を通じて、もう一度つくっていきたいと考えています。
 

 開講から2年目の2015年度は、50 プログラム、850 名の子どもたちが参加する取組となる見込みです。自然体験からアート、ものづくり、音楽、食育など多様な分野のプログラムを展開しています。
 

 幅広い分野のプログラムを用意している理由としては、子どもたちに、自分の「好き」や「得意」に気づいてほしい、そして「何でだろう?」「もっと知りたい」という好奇心を引き出していきたいと考えているからです。コンピューターに大量の情報が蓄積され、機械が人に代わって労働力となってきている時代。大人も子どもも、主体的に学び続け、創造力を発揮しようとする姿勢が大切なのではないでしょうか。そして、その原動力となるのが好奇心、探求心だと思います。
 

 子どもたちが巣立っていく未来は、正解の用意されていない、変化の大きな時代になることが予想できます。その時のために、大人ができること、地域ができることは何か、真剣に向き合う時だと思います。
 

 最後に、私自身がプログラムを通じて子どもたちからたくさんのことを学んでいます。何が正しくて、何が良いことなのか…自分の未熟さや、頑なになっている部分に気づき、日々向き合っています。大人と子どもたちが共にコミュニティをつくることは、双方にとって必要な環境であると感じています。


(本文は2016年2月に上毛新聞 視点オピニオン21 に寄稿したものです)