コラム
子どもたちが待ちに待った、夏休みが始まりました。夏休みは、長い休みならではの体験をしたり、普段会えない親戚に会いに行ったり、地域のお祭りや行事に参加したり、子どもたちにとって大きな可能性を持った期間です。夏休み明けの子どもたちは、それまでとは違った少し成長した表情を見せてくれます。
しかし、共働きの家庭にとっては、子どもだけを自宅に残して仕事に行くのは心配のたねなのではないでしょうか。そんなとき頼りになるのが放課後児童クラブです。桐生市では小学校ごとに、空き教室や敷地内の建物などを利用して、放課後児童クラブが設置され、小学1年~6年の児童が利用することができます。
ある時、NPO活動の中で出会った、ある放課後児童クラブの指導員の先生から「夏休みは子どもたちが放課後児童クラブで過ごす時間も長く、またクラブを利用する児童数も増えます。夏休みは子どもたちが成長する大切な時間だからこそ、どのようにクラブにいる時間を過ごしてもらうか、毎年悩んでいます。2学期が始まったときに、『放課後児童クラブに通って楽しかったよ』と友達に話せる思い出をつくってもらいたい」という、現場の声をうかがいました。
子どもたちはエネルギーの塊です。そのエネルギーを持て余してしまうのではなくて、子どもたち一人ひとりの好奇心を刺激し、向上心を育てあげたいというのは、保護者、指導員、地域の方々、みんなの願いだと思います。
一方、少子化により児童数は減ってる一方で、放課後児童クラブに通う児童数は増えているという現状もあります。現場で子どもたちを見守る指導員の先生に任せきりでは、負担が増えるばかりです。
今、放課後児童クラブだけでなく、キャリア教育や放課後子ども教室の実施など、国をあげて、子どもたちが多様な人と出会い、体験を通じて感じ、自らの頭で考え、生きる力を育むための取り組みが進められています。子どもたちの健全な成長には、学校、家庭、地域の連携が必要不可欠です。そして、それらをつなげるコーディネーターの存在も欠かせません。
そこで、放課後児童クラブの要望に合わせて、地域で活躍されているその道のプロを招き、子どもたちの体験の機会を増やそうと、放課後児童クラブと外部のNPOが連携し、新たな取り組みが始まりました。
今年の夏休みは、和菓子職人、パティシエによるお菓子作り教室、理学療法士によるサッカー教室、工務店による木工教室、他にも、大きなダンボールで家づくり、水鉄砲づくり、写真立てづくり、手品教室など多様な市民の方の協力を得て実施にいたることができました。地域の教育力が向上することで、子どもたちの学びが増進されだけでなく、減災、防犯にもつながります。子どもたちと向き合いながら、より豊かな地域づくりの輪を広げていきたいと思います。
(本文は、2016年7月に上毛新聞 視点オピニオン21 に寄稿したものです)